共有

第六十話 魔導剣士ロイ、えらいことになる

last update 公開日: 2026-07-22 22:28:26

 昨日は、なんだか安眠できなかったので、早く目が覚めてしまった。

 なんとも、暇だ。暇なので、いつぞやの遺跡でアー&ウーン兄貴たちからもらった、巻物スクロールとにらめっこしている。

 そして、魔が差した。読んで・・・みようと。

 とはいえ、爆発魔法なんか仕込まれてたら危ないし、動物に変化などしても困る。

 というわけで、「これから巻物の実験をする。もしも動物などになっていたら、師匠に相談してくれ」と書き残し、巻物一枚を手に、開けた場所に出た。

 とりあえず、この魔法文字自体は読めるんだ。ただ、そこから導き出されるものがわからない。ゆえのジャンクだ。

 文字を、読み上げていく。すると、なにやら俺の体が、柔らかな光に包まれた。

 ……これだけ?

 なんか、大仰な準備をした割に、しょっぱいな。

 さすがジャンク。こんなものか。

 ……と、これで終わればよかったのだが。

 ◆ ◆ ◆

「ないィィィィ!」

 「蒼い三日月亭」の厠の中で、黄色い悲鳴をあげる俺がいた!

 どうしよう? どうしたらいいんだ!?

 いや、どうしようも何も、当初の用事を済ませるほかない。

 要領は、
この本を無料で読み続ける
コードをスキャンしてアプリをダウンロード
ロックされたチャプター

最新チャプター

  • 女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!   第八十話 魔導剣士ロイ、東と北に想いを馳せる

     テーブルにつくと、さっそく食前酒と肉料理の小皿が運ばれてきた。「鴨……ですね?」「ああ。いいのが手に入ったので、料理させた」 いただこう。……うむ。東の川、そこを泳いでいたのだろうな。良く引き締まった、野趣溢れる味。鶏とは違う、滑らかな肉質。そして、程よい脂。ふう……これに、白ワインが合う。見事な一番槍。「そういえばパティ。なんで戦士をやっているのかという話が宙ぶらりんだったな」「そんな難しい話でもないんですよ。ボク、男の人の視線が苦手なんで、こうやって顔を隠せる仕事を探したら、これに行き着いたんです」 いや、ずいぶん難しいよ!「顔を隠して、家業を手伝うのではだめだったのか?」「客商売で、それはちょっと……」 むう。道理ではあるが、女性向け服飾店なら、あまり男性客はこないのでは? まあ、合縁奇縁。頼れる盾役がいて助かっているから、この選択を否定する筋合いもないか。 などと話していると、次の皿が運ばれてきた。 コンソメスープだ。「! これは、青い三日月亭の……!」「ご名答。彼女らはいい仕事をするね」 しれっとおっしゃるロイドさん。お抱えに技を盗ませるとは、食えない人だ。 続いて魚。「サクラマス……。これも青い三日月亭の味ですね?」「いい舌をしているね。あそこの料理は大変参考になると、シェフが言っていたよ」 やれやれ。女将さんたちの、商売敵じゃなくてよかった。 そして、やはりきたか! 鴨のステーキ! いいのが手に入ったと言っていたもんな。ここで、赤ワインがサーブされる。 モム……。モニュ……。ナポ……。 野趣あふれるこの味わいは、やはり鴨。おお、鴨よ。一体、どんな異国の風景を見てきたんだ? あの寒い、エーデルガルドか? あるいは、そのさらに北か? その生命力、ありがたくいただこう。 最後にデザート。のはずだが。なんだろう、この黒い物体は?「不思議そうだね。それは羊羹という。バーブルと、そのさらに東、オウカで食べられている」 ごくり。どんな味がするのか。 これは甘い! ケーキなどとは、まったく違った風合い! いやはや、バーブルでこんな甘味を見逃していたとはしくじったな! バーブルの茶に始まり、バーブルのデザートで終わったか。「お見事です」「ありがとう。ところでパティ。悪い虫はついていないだろうね?

  • 女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!   第七十九話 魔導剣士ロイ、パティ兄に会う

    「え、ボクの家族に会うんですか?」 提案を切り出すと、パティが意外そうな顔……をしているかどうかわからないが、そんな声音で言った。「うむ。思えば、君とフランのご家族に会ってなかったな、と。都合が悪いだろうか?」「いえ、ボクは構いませんけど」 わたわたと手を降る。「アポは取ったほうがいいよな。頼めるか?」「あ、はい! では、ちょっと行ってきます!」 手早く朝食を終え、勘定を済ませると、がっしゃがっしゃと退店する彼女。「急がなくてもいいのに」 ミルクを飲み、やれやれと首を振る。「そういえば、クコのご家族はやはり遠くに住まわれているのか?」「はい。グリーン・ヘブンの森に」「そりゃ遠いな」 ミルクをもう一口。「でも、きっと元気ですよー! あっちのほ」「黙れ」 笑顔で制する。どうしてこうなんだ、こいつは。「フランは?」「この街の大司教と、副大司教ですわ」 ほー。そりゃまたすごい。 そんな雑談をしながら、ゆっくり朝食を愉しむ。うむ! やはりたまごサンドは鉄板だな! まったく、一度ダイス状にするという小憎いアイデアは、誰が考えたのだろうか。実に食べやすいではないか。美味し、美味し。 ◆ ◆ ◆「戻りました~」「おかえり」 暇潰しにカードゲームをしていると、パティが戻ってきた。「夕食を共にしたいと」「ほう。それはそれは。やはり、バリッとした格好で行くべきだろうか」 服の袖口を引っ張る。「いえ、気軽な格好でとのことで」「わかった。せっかくだから、パティも混ざってくれ。今、いい勝負なんだ」「はーい」 こんな調子で、夜まで時間を潰すことに。 ◆ ◆ ◆「ほう、商業地区か。パティの実家の生業は、商家なのか?」 夕刻、パティに道案内されていると、戦士の家にしては不似合いな方角に向かっていることに気づく。「はい。女性用の服飾を扱っているんです」 ほほー。サンキスト……女性服……。「あそこか!」 サンキスト服飾商会。このへんじゃ、ちょっとした有名店だ。「また、なんだって商家の娘さんが、戦士に」「そのへんは、家で話しましょう。そろそろ着きます」 るんるんと道行くパティの後ろを、ぞろぞろとついていく。 ◆ ◆ ◆「おかえりなさいませ、お嬢様。そして、ようこそいらっしゃいました」「ただいま!」 しゃんとした身な

  • 女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!   第七十八話 魔導剣士ロイ、再び涙する

    「わかったよ。武装解除するよ」 剣を下に置く。顔を愉快そうに歪めるステルベン。「次に……」 魔導書をつまむ。「雷王撃砕嘯」  電撃がほとばしり、やつを粉砕する! 魔導書には、触れているだけでいい! 剣を拾うと、ダッシュ! 復元したステルベンを、斬り伏せる。「憤怒爆獄炎!」「見切ったァッ!」 サンを抱えて、転げて回避!「ステルベンへの攻撃は無駄だ! ダンタリオンを先に仕留める必要がある!」 ステルベン、いくらなんでもタフすぎる! ダンタリオンが復活させてるんだ!「強重結縛糸!」「グムッ!?」 ダンタリオンの真下の黒円から、黒い直糸が幾本も無数に伸びていき、地に引きずり落とす。「ステルベンは私が! ヒョホォッ!!」 奇声はともかく、助かる!「なんてひどいことをするんだ……。悲しいなあ……。氷獄殲滅嵐ぉ……」 ごろんと転がり「哀」になると、ステルベンやゾンビを巻き込んで、氷結魔法を繰り出してくる! 痛え! 灼ける! くそ! シャックスを思い出すな! しかし、そこにクコの命活癒術草と追い超力賦活草! 力がみなぎる!「くたばれサイコロ野郎!」 剣で斬りつけるが……手応えがまるで無い!?「私も!」 ナンシアも殴りかかるが、やはり手応えがなさそうだ。 なんなんだ、こいつは!? 何度斬りつけても、やはり手応えがない。なのに、こちらはやられっぱなしだ。まずい。 俺が持っているのは魔剣だ。ついでに、賦術火炎刃もかかっている。だから、ワイトのような相手にも効く。 すると、こいつがノーダメのからくりはなんだ? ありうるのは、影が本体か!? 影に刃を突き刺してみるが、平気で転がっている。外れか! ふと、上を見る。手甲と魔導書。もしや。「雷王撃砕嘯!」「ギャアアアムッ!!」 魔導書に電撃を食らわすと、ダンタリオンがおぞましい悲鳴を上げる。こっちが本体か!「強重結縛糸!」 魔導書を地上に引きずり落とすと、燃え盛る剣で切りつける!「ゲバァッ! やめて……お願いだから……」「やめるわけね

  • 女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!   第七十七話 魔導剣士ロイ、死闘する

     浮遊する巨大なサイコロが出現する。これまた巨大な手甲と魔導書を持ち、いつぞやのワイト王を思い出させる。 しかし一層奇妙なのは、サイコロの各面に、喜怒哀楽、あとは裏で見えないが、おそらく六種の「表情」があることだ。「我を呼び出して、何の用だ」 正面を向いている「怒」面が、鬱陶しそうに言う。「前衛が頼りないので、御大にお力添えいただこうかと。恐縮です」 すると、「怒」から「哀」にくるりと変わり。「そんなことで呼び出さないでほしいなあ……悲しくなっちゃうよ」「贄は弾みますので」 今度は「喜」に変わり。「そーゆーことなら、いいよお! 瞬閃輝眩光!」 巨大魔導書がバラバラとめくれ、閃光がほとばしる。「うおっ! まぶし!!」 まずい! 視界を奪われた!「そこに、追い火葬炎上獄!」 熱い! くそ! こいつ、さっきから俺ばかり!「命活癒術草!」 クコの声。痛みが引いていく。いち早く、スタンから立ち直ったか。 こちらも視界が戻ってきたが、ゾンビに殴られた。痛え! こいつら、力とタフさだけはあるからな!「雷王撃砕嘯!!」 とにかく、数を減らす!「死霊浄化術!!」 フランの追い打ち! かなり削ったぞ! 人狼化したナンシアも、敵を見事蹴散らしている。さっきは迷惑かけた!「火葬ゴフッ!」 ステルベンが魔法を繰り出そうとするが、喉を一閃される。「兄貴の気持ちを、よくも踏みにじったな……!」 サン! いつの間に!「馬鹿な……あっけなさゴボッ!」 倒れるステルベン!「ええっ! ステルベンくん、死んじゃったよ!」 「驚」ダンタリオンが、文字通り驚く。しかし、くるりと回転して「悩」になると。「仕方がない……。|死霊転屍術」 巨大魔導書から黒色光がほとばしる! すると、ステルベンがむくりと起き上がった。「おお……負の生命力が満ち溢れる……!」「この!」 サンが再び喉笛を掻っ切るが、ピンピンしてる!「無駄無駄ァッ!」「うぐっ!」 そのまま、サンを裏拳で殴り飛ばす!「どうやらあいつ、アンデッドになったようですわね! ならば! |聖王曙

  • 女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!   第七十六話 魔導剣士ロイ、涙する

    「では、用意はいいかね?」「はいッ!」 ステルベンさん先導の下、皆でテレポートの陣の上に乗る。 テレポーター代もステルベンさんが持ってくださるとのことで、ありがたい話だ。 そして、テレポーター発動。うう、相変わらず、この感覚は慣れないな……。「この術は夜に行う必要があってね。夜にご家族が眠る墓地に案内してもらいたい」「わかりました!」 妙な条件だが、この世で初めての奇跡を起こす術。色々と複雑なのだろう。 複雑といえば。「フラン、そんな複雑な顔をしないでくれ」「無理ですわ」 蘇生の話がでてからというもの、どうにも彼女とは気まずい状態が続いている・ こういうときは、どうしたらいいのだろうか。チームに亀裂が入ってるのはまずい。 が、俺も家族との再会を諦めるわけにはいかない。 奇跡を目の当たりにすれば、フランもきっとわかってくれるはずだ、うん。「ステルベンさん! とってもいい店があるんですよ! ご案内します!」「それは楽しみだね」 彼を先導して、青い三日月亭に向かう。  ◆ ◆ ◆ 「ステルベンさん! 何にしましょう? この見せは、なんでも美味しいですよ!」「では、シェフのおすすめといこうかな」 笑顔のステルベンさんに、バーシが応えて下がる。我々も、同じものを頼んだ。 ……相変わらず、フランの感じがよろしくない。メシぐらい、楽しく食おうぜ。なあ? 食前酒を楽しみつつでてきたのは、ステーキ! シンプルにして、力強い!「では、いただこう」 ステルベンさんの音頭取りで、ナイフを入れる。 おう! スッと切れる! さすが、女将さんの料理だ。 口に運ぶと、豊かな肉汁が口中にあふれる。この風味、ラムか! ああ……発展途上の命をいただいているという罪悪感……。だが、それすら赦されるであろう、極上のソースと焼き加減。 仔羊よ、安らかに。我らの血肉となれ。ここで赤ワインが供される。わかってるじゃあないか、バーシ。「こりゃあ、美味しい! 君のいうとおりだ!」「でしょう!」 ステルベンさんもご満悦だ。 つつがなく食事も終わり、コーヒーなど愉しみながら、談笑する。……いい加減、不機嫌モード直ってくれよ、フラン。 そんなこんなでアカデミックな会話を弾ませていると、日が沈み始めた。「では、そろそろ行きましょうか」「はい!」

  • 女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!   第七十五話 魔導剣士ロイ、話に乗る

    「その……」「単刀直入に言おう。もしかすると、生き返らせられるかもしない」 ステルベンさんの言葉に、心が揺らぐ。「本当……ですか?」「百%は保証できない。それでよければ」「……ぜひ!」「ロイさん!」 ガタンとつい立ち上がると、フランに裾をつままれた。彼女を見ると、首を横に振る。 言わんとすることはわかるよ。君は神官だ。 でも君には、あんな酷い死に方をした家族はいないだろう。その遺族の悲しみはわからないだろう。 不意に、鐘が鳴った。「おっと。講義を開かねば。三日後は、完全にオフでね。その時に、蘇生を行おう」「よろしくお願いしますっ!」 深々とお辞儀。退出する。  ◆ ◆ ◆ 「ロイさん、しっかりなさいませ。死者が蘇るなど、神の摂理に反していますわ」「黙っててくれ。君に横合いから口を挟まれるいわれはない」「なっ……!」 さすがにちょっと、言葉がきつかったかもしれない。けど。「兄貴……ちょっと雰囲気怖いぜ」 サンが、心配そうに見上げる。「まあな。訳アリなんだ」「それ、お姉ちゃんに話したら、少しは楽になる? 受け止めるよ?」「楽にはならないだろうな。でも、パーティーに秘密があるのは、よくないことだと思う。宿で話そう」 緑の森亭に帰投すると、幼少期の凄惨な出来事を話して聞かせる。皆、血の気が引いていた。パティだけは、兜でわからんが。「その……そこまでの体験をしているとは思いませんでした。でも……」「やめよう、フラン。平行線だ」 コーヒーカップを傾ける。 会話が途絶えてしまった。「とりあえず、あと二日あるんだろ! 依頼受けようぜ!」「ですね! ボク、頑張ります!」「ああ、そうだな。悶々としているより、いいかもしれない」 コーヒーを呷り切る。「依頼所、行ってみようか」  ◆ ◆ ◆  店主に教えてもらい、アハ=イシュケの依頼所に向かう。「それにしても、邪教の教会が多いですわね……あた!」 フランの頭にチョップを入れる。この国では、太陽神オルナウより、智神イクナビュタの方が、篤く信仰されている。「宗教戦争の火種になるようなことを、言うんじゃないよ」「あたた……ふふ、少し調子が戻ってきたようですわね」 フランなりの、気遣いだったのか。やり方は、非常によろしくないと思うが。「やれやれだな。着いたぞ」 依

続きを読む
無料で面白い小説を探して読んでみましょう
GoodNovel アプリで人気小説に無料で!お好きな本をダウンロードして、いつでもどこでも読みましょう!
アプリで無料で本を読む
コードをスキャンしてアプリで読む
DMCA.com Protection Status